耐力壁がない通りに要注意:剛床と水平構面の補強設計

木造建物において、下階の同一通りに耐力壁が存在しない場合、上階の水平力は剛床構造によって下階の耐力壁へと伝達されます。許容応力度計算ではこの剛床部分の剛性や応力伝達について検討されますが、壁量計算では剛床の仕様や性能についての検討は行われません。そのため、剛床の構造仕様によっては、水平力の伝達が不十分となり、力の流れが分断されるおそれがあります。
このような構造的なリスクを低減するために、新築のみならず既存建築物の耐震補強設計においても水平構面(剛床)の補強が行われることがあります。特に既存建物の耐震性能が不十分な場合には、床合板の増し張りや金物補強などによって、水平剛性を高める工法が採用されます。設計にあたっては、剛床仕様とその接合ディテールの整合性を十分に確認することが重要です。

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