耐震性向上の第一歩:屋根の軽量化と落下リスクの対策

耐震改修の一環として「屋根の軽量化」は非常に効果的な対策です。特に古い木造住宅では、瓦の下に土を載せた「土葺き瓦屋根」が多く、屋根全体が非常に重くなっています。建物の上部が重いと、地震時に揺れが大きくなり、建物全体の倒壊リスクが高まります。
また、大きな地震では屋根瓦が脱落・落下するおそれがあり、住む人や近隣への二次的な被害を引き起こす可能性もあります。これも屋根を軽量な金属屋根や軽量瓦に葺き替えることで大幅にリスクを軽減できます。
ただし、屋根の葺き替えを含む大規模の修繕、大規模の模様替えは、改修工事の内容によっては、建築基準法に基づく「確認申請」が必要になることがあります。特に構造に影響を与える改修や、増築・用途変更を伴う場合は、事前に専門家に相談して、必要な手続きを確認しておくことが大切です。

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耐力壁がない通りに要注意:剛床と水平構面の補強設計

木造建物において、下階の同一通りに耐力壁が存在しない場合、上階の水平力は剛床構造によって下階の耐力壁へと伝達されます。許容応力度計算ではこの剛床部分の剛性や応力伝達について検討されますが、壁量計算では剛床の仕様や性能についての検討は行われません。そのため、剛床の構造仕様によっては、水平力の伝達が不十分となり、力の流れが分断されるおそれがあります。
このような構造的なリスクを低減するために、新築のみならず既存建築物の耐震補強設計においても水平構面(剛床)の補強が行われることがあります。特に既存建物の耐震性能が不十分な場合には、床合板の増し張りや金物補強などによって、水平剛性を高める工法が採用されます。設計にあたっては、剛床仕様とその接合ディテールの整合性を十分に確認することが重要です。

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屋根と壁の取合い部の防水処理について

住宅瑕疵担保保険の基準では、下屋根と外壁との取り合い部分において、屋根下葺き材の防水シートを250㎜以上立ち上げて施工することが求められています。

この基準は、パラペットの水上部分や棟違い屋根の取り合い部などにも同様に適用されますが、構造上、250㎜の立ち上がり寸法を確保できないケースも少なくありません。
そのような場合には、伸縮性のある粘着防水テープによる防水処理や、棟違い屋根においては野地板の裏側まで防水シートを巻き上げる処理など、現場条件に応じた適切な対策が必要となります。
また、そもそもパラペット水上部分では250㎜以上の立ち上がりを確保するなど設計段階から防水を意識することも大事だと思っています。

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和室の壁を耐震補強する・コストを抑えた施工例

和室の壁を面材耐力壁で補強した事例です。
床梁と耐力壁との取り合いは、畳の下地を剥がして施工するため、完了後は畳に隠れて見えなくなります。
一方、小屋梁との取り合いでは天井を剥がす必要がありますが、天井材を全面的に張り替えると費用がかさむため、今回は必要な部分のみを部分的に張り替えました。

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カーポートの確認申請について

4月以降、YouTubeやSNSなどで「アルミカーポートの確認申請が必要になった」といった情報が出回っていますが、確認申請が4月から新たに必要になったわけではありません。従来から、一定の条件を満たす場合には確認申請が必要とされています。
たとえば、標準的な片持ち1台用のアルミカーポートでも床面積が約12㎡あるため、「10㎡を超える増築には確認申請が必要」という要件に照らすと、都市計画区域内に設置する場合は確認申請の対象となります(;^ω^)
(画像は三協アルミのHPよりカムフィエースです)

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横架材間距離に応じた筋かいおよび柱の設計上の留意点

横架材の上端相互間距離が3mを超えているため、筋かいの座屈を防ぐため、筋かいを上下二段に分けて設置しました。
また、これとは別に、横架材の上端相互間距離が3.2mを超える場合には、平成12年建設省告示第1460号第二号の各表によらず、柱頭および柱脚に生じる引張力が大きくなることを考慮した構造設計が求められます。

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床に段差を設けるときの注意点――水平構面の連続性をどう確保するか

床に段差を設けると、水平構面の連続性が損なわれるおそれがあります。
梁成で対応できる程度の小さな段差であれば問題ありませんが1,000mm前後の大きな段差になる場合は注意が必要です。
このような場合には、段差の鉛直面の両側から面材を挟み込むなどして、水平構面の連続性を確保する納まりとする必要があります。

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敷地の地盤調査を行いました

昨日地盤簡易調査であるスクリューウエイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)を行いました。この調査は、住宅など小規模な建物の建設前に地盤の強さを調べるためのものです。
スクリュー状の先端器具を取り付けたロッドを、荷重をかけながら回転させて地中に貫入させ、必要な回転数や荷重から地盤の硬さやおおまかな地層構成を推定します。
この試験は、木造住宅などの比較的軽量な建物に適しており、機器がコンパクトで取り回しやすいため、狭小地や住宅街でも容易に実施できるのが特徴です。
なお、大規模な建物や重量構造物を建設する場合、または地下水位や土質の詳細な確認が必要な場合には、ボーリング調査などのより精密な地盤調査が推奨されます。

地盤調査 スクリューウエイト貫入試験 SWS試験


設計住宅性能評価申請書

木造在来軸組工法2階建て住宅の許容応力度計算での耐震等級3、耐風等級2、断熱等級4の設計住宅性能評価申請の提出書類等をプリントアウトするとこのくらいの厚さになります。
9/10くらいは構造計算書ですが(^^;)
住宅性能評価の申請は、データ申請できる審査機関への提出の方がよさそうです。