盛土は結構重たいです

厚さ約50cmの盛土は、2階建ての木造住宅の固定荷重(住宅の自重)と同程度の重量になります。重くなればなるほど沈下傾斜障害などの原因になるばかりか、近隣の建物にも何らかの障害を及ぼしてしまうので、過大な盛土造成する際には細心の注意が必要です。特に粘性土地盤になると長い時間を要して沈下するため、建築後数年経ってから被害が出始めます。そのタイムラグから因果関係はないと思われがちですが、建物の築造や過度な盛土が主な原因となるようです。


今朝、体に感じる地震がありました。

今朝(4月26日)6時17分頃地震がありました。何となく揺れたなと思っていたところ、松江の震度は「1」でした。あまり知られていませんが、実は体に感じないくらいの微動の地震というのは、毎日いたるところで起きています(画像は4月23日の震源分布図です)。
ちなみに松江市で、過去「震度4」以上の地震を観測したのは、戦後から現在まで、震度「4」は5回。「震度5強」は2001年10月6日の鳥取県西部地震の1回です。そして、今後30年間で強い地震に見舞われる確率を当事務所がある場所(松江市秋鹿町)で調べてみると、「震度5強」は20.9%、「震度5弱」は61.6%、「震度6弱」は3.3%でした。この数値は、全国的にみると比較的低いようです。それでも確率はゼロではありません。人間の予測を超えてある日突然発生するのが、地震を含めた自然災害です。確率が低いからといって安心はできません。備えあれば憂いなしです。機会があれば、お住まいになっている建物の耐震診断だけでも一度お試しになられてもよいのかもしれません。診断することによって、どのくらいの震度で建物にどのくらいの被害が及ぶのか、だいたいの目安がわかります。


小屋裏物置等の設置時の注意点

●木造の建築物に物置等を設ける場合に階の床面積に加える面積を定める件(平成12年5月23日建告1351号)『建築基準法施行令第46条第4項の規定する木造の建築物に物置等を設ける場合に階の床面積に加える面積は、次の式によって計算した値とする。ただし、当該物置等の水平投影面積がその存する階の床面積の1/8以下である場合は、0とすることができる。』(抜粋)

a=h/2.1A

a:階の床面積に加える面積
h:当該物置等の内法高さの平均値(ただし、同一階に物置等を複数個設ける場合にあっては、それぞれのhのうち最大の値をとるものとする)
A:当該物置等の水平投影面積

要は、条件によっては筋かい等による必要耐力壁の割増があるということです。

●平成12年6月1日 建設省住指発第682号『小屋裏、天井裏その他これらに類する部分に物置等がある場合において、当該物置等の最高の内法高さが1.4メートル以下で、かつ、その水平投影面積がその存する部分の床面積の2分の1未満であれば、当該部分については階として取り扱う必要はないものであるが、近年このような物置等を設置する事例が増加してきていることを踏まえ、軸組等の規定を整備した。』(抜粋)

とあるように、天井高は最高でも1.40m以下、面積は1/2未満です。それを上回ると階の扱いになるので注意が必要です。


柱のグリッド

柱のグリッドは910mmと1,000mmが主に使われているサイズです。私の住む地域では985mmグリッドで計画される方も結構います。が、985mmというのは柱を基準とした柱割ではなく、本間畳の2間分(1910mm×2)に柱幅(120mm)を足して4分割した、あくまでも畳を基準とした畳割りから導き出された数字にしか過ぎまぜん。仮にこれが1間半の幅なら、955mm×3+120=2,985mmとなり、これを3分割してみると995mmと数字は異なってきます。
基本的にはどんなサイズのグリッドでも問題はないでしょうが、施工性やコスト面を考えてみれば910mmや1,000mmになるでしょうし、畳割り寸法を採用するのなら、個人的には強いこだわりを持っているわけでありませんが、折角なのでそこは畳割りで貫き通してもよいかと思っています。


小梁のたわみ量について

先日築7年経過した木造住宅を調査したところ、2階外周部付近の部屋内の床と壁の間に地権者でも気がつくくらいの隙間があいていました。 1、2階の間取りから推測するに、大梁に掛る小梁の上に外周部の耐力壁が載っているようでした。原因としては、小梁のたわみに大梁のたわみ量が加算されたこと、梁上の柱から伝わる屋根荷重や筋かいの圧縮力が加わったことにより、目視でも分かるくらいに床が沈んでしまったのだと思われます。この手のプランはよくあり、絶対ダメだとまでは申しませんが、H12建告1459号のたわみはスパンの「1/250以下」や『木造軸組工法住宅の許容応力度設計2008年版』に記載されている「1/300かつ20㎜」の基準値よりもっと厳しくして検討する必要があると考えます。    


重ね梁について

図(B)のように上下に2本重ねただけの梁を、(A)の梁せいが2倍の梁と同じ強度があるものと誤った解釈をして使っている架構を多く目にします。
梁せい(h)が大きくなれば、曲げ強度に影響する断面係数は2乗、たわみに影響する断面2次モーメントは3乗の効果があることからも、重ね梁はたわみ等によるトラブルの原因となりうるので注意が必要です。


高温乾燥材の杉柱を使用する場合の注意点

柱材として一般的によく使われる杉は、桧に比べると芯材部分の含水率が高いため、機械による高温乾燥させると、芯材部分にもヒビが入ることがあります。したがって柱頭や柱脚と土台や梁などの横架材の仕口を『ほぞ差しこみ栓』にした場合、引張力が加わった時にほぞが割裂き破壊する恐れがあるので、高温乾燥材の杉柱を使用する場合は特に注意が必要です。


木造軸組工法での耐力壁の有効最小値

よく令46条表1((8)を除く)および昭和56建告1100号(第1第十二号を除く)に仕様と壁倍率が与えられた耐力壁の適用範囲の最小値(柱芯々距離)はいくらですか?という質問をいただきます。
「木造軸組工法住宅の許容応力度設計2008年版」によると、最小値は90cm以上とし、かつ、階高/幅は3.5以下。面材張り (昭和56建告1100号第1第一号~代四号) 耐力壁については60cm以上、かつ、階高/幅は5以下と明記されています。


水平構面の剛性について

施行令第3章3節の木造仕様規定では、筋かい等の耐力壁についてそれなりに明記されていますが、水平耐力に関しては「隅角には火打材を使用」としか記載されていません。一般的にも木造2階住宅程度のいわゆる4号建物では、水平耐力についてあまり重要視されていないようです。
しかし、やはり水平耐力は軸組の耐力壁と同じくらい重要です。壁がいくら強くても、水平剛性が脆弱だと地震力や風圧力等の横からの強い力に耐えることが出来ず、最悪の場合、建物のねじれによる崩壊をまねいてしまうからです。
イメージしやすいのは、蓋の無い箱に両側から力を加えると簡単に変形してしまいますが、蓋をかぶせた状態で力を加えると、なかなか変形しない(変形しにくい)という感じです。建物にすると、小屋梁の水平方向に合板を直張りする状態が蓋になります。
したがって、笑い話的になりますが「小屋裏に物置スペースをつくっても、そこには物を置かない」という矛盾した用途こそが、耐震には非常に有効であるといえます。


木造筋かい検討の際の注意点(2)

2、3階部分の筋かいなどの耐力壁端部の左右いずれか、または両方に下階の柱や壁がないものを梁上耐力壁といいます。梁上耐力壁になると、梁がたわむ影響から耐力の剛性が低下するので、耐力壁の耐力を低減して計算する必要があります。条件によっては耐力が半分以下になるので、小梁などのいわゆる2次梁以降の横架材に載る耐力壁を多く配置する建物で、施行令の仕様規定のみで検討される場合は、特に注意が必要です。